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最高裁判所第一小法廷 昭和26年(し)63号 決定 1954年2月04日

主文

本件特別抗告を棄却する。

理由

本件のように起訴状に記載された事実が、実体法上罪とならないとの理由により、刑訴三三九条一号に基き公訴を棄却すべしとの申立は、結局原裁判所の職権発動を求める申立に帰し、しかも、かかる申立については、訴訟法上決定を為すべき旨の規定が存しないから、これが採否について判断を示すことを要しないことは、多言を要しないばかりでなく、既に当裁判所大法廷の判例の趣旨とするところである。(昭和二三年九月二七日大法廷決定判例集二巻一〇号一二二九頁以下参照)。

そして、かかる理由の申立を却下した決定に不服のある者は、終局裁判に対する上訴において不服を申立てることができるのであるから、(昭和二六年七月二〇日当裁判所第二小法廷決定判例集五巻八号一五七一頁以下参照)、本件特別抗告の申立は、刑訴四三三条一項の要件を欠き、不適法たるを免れない。

よって、同四三四条、四二六条一項に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 真野 毅 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 岩松三郎 裁判官 入江俊郎)

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